多くのSaaS企業が売上拡大を目指す中で、既存の営業手法だけでは限界を感じることがあるでしょう。その課題を解決する手段として注目されているのが『パートナーセールス』です。
パートナーセールスとは、自社サービスをパートナー企業と連携して提供し、販路拡大を図る営業戦略です。
今回は、パートナーセールスのゼロからの立ち上げに成功した株式会社アール・アンド・エー・シーの鴨下さんに、パートナーセールスの戦略について立ち上げの具体的な手順やポイントを詳しく伺いました。
パートナーセールスの導入を検討している方や、新たな販路開拓に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてください。
株式会社アール・アンド・エー・シー
執行役員
パートナー推進本部 本部長
鴨下 徹さん
目次
パートナーセールスとは?種類と特徴
―まずは、鴨下さんのご経歴と現在のお仕事を簡単にお願いします。
私は2007年に、新卒で経理や人事、総務向けのパッケージシステムを開発・販売するメーカーで業界で名高い株式会社オービックビジネスコンサルタントに入社しました。主に東京や東海エリア、北陸エリアでパートナー企業と連携し、約13年間パートナービジネスに携わってきました。
その後、2020年に株式会社アール・アンド・エー・シーに入社し、パートナーセールスの立ち上げを担当しています。現在はパートナー推進部責任者として事業推進と営業部門管掌を兼任しています。
―パートナーセールスについて解説をお願いします。
パートナーセールスとは「パートナー企業を通じて自社の製品やサービスを提供し、売上拡大を目指す営業手法」のことです。一般的なパートナーの種類は以下のとおりです。
▼SaaS企業におけるパートナーの主な種類
- 紹介取次パートナー:紹介後、受注や契約に至ったらパートナーにインセンティブを支払う仕組み。メーカーと顧客との契約手続きに介入しにくい場合などに用いられる。
- 再販売(卸売型)パートナー:パートナー企業が製品を仕入れ、顧客へ提供する仕組み。他のサービスとセットでの提供や、地方の顧客ニーズに応じた営業などに用いられる。
- 連携パートナー:互いの自社ブランド製品を持つパートナーと連携し、サービスを提供する仕組み。自社ブランドの補完や付加価値、導入促進に用いられる。
- OEM(製品提供):自社のサービスをパートナーのブランドとして提供する仕組み。自社ブランドの補完や付加価値、導入促進としての見せ方で用いられる。
- BPO(業務代行):パートナーへ自社の業務を一部委託する仕組み。
私が所属するアール・アンド・エー・シー(以降、弊社)では、上記の種類を踏まえ、様々な属性のパートナーと協業しています。具体的な構成比率は次の通りです。
- プロダクト連携パートナー:約30%
- システム連携のコンサルティングパートナー:約20%
- 金融機関や士業のパートナー:それぞれで約10%
パートナーセールスの立ち上げ当初は、弊社と相性が良いパートナーの種類を見極める意味合いもあり、上記の全種類のパートナーに働きかけてパートナーシップの構築を進めました。
ただ、パートナーの種類によって難易度が違うため、初期のフェーズでは「紹介取次パートナー」と「再販パートナー」との協業からスタートすることが多くなると思います。
パートナーセールス導入の背景と課題
―パートナーセールスを立ち上げた目的を教えてください。
パートナーセールスを立ち上げた目的は、主に以下の2つでした。
- 新規顧客の開拓のため
- パートナー企業から市場の情報や競合情報を獲得するため
新規顧客の開拓や可能性を広げるため、立ち上げを決意
―では、鴨下さんがパートナーセールスをゼロから立ち上げた背景を教えていただけますか。
私が入社した当時、弊社のユーザー数は約500社ほどでした。この段階では直販営業が中心でしたが、市場の拡大や新規顧客の開拓に課題を抱えている状態でした。つまり、パートナー企業との協業を進めて販路を広げる必要性を感じ、パートナー戦略を推進していくフェーズに差しかかっていたのです。
前職で培った13年間の経験を活かし、新たな挑戦をしたいと考えていました。そのようなタイミングでご縁があって入社することとなり、パートナーセールスの立ち上げに挑戦する決意をしました。
パートナーセールスを実施するメリット
―パートナーセールスを実施するメリットは何でしょうか?
パートナーセールスを実施して感じるメリットは、次の2つです。
- 販路拡大や新たな市場へのアプローチにつながる
- パートナーから新たな知見が得られる
1つ目は、パートナーの数が増えるほど自社の販路が拡大し、新しい市場へのアプローチが可能になる点ですね。直販営業のみでは伝わりづらい地域や顧客へのアプローチがしやすくなるため、営業活動の可能性が大きく広がります。
弊社はパートナーセールスを立ち上げて依頼、パートナーからのリード導線をある程度確立できました。その結果、現在は月の受注の半数を占めるようになったり、大手企業との高額契約に結びついたりするなど、大きな成果につながっています。
2つ目は、パートナー企業との協業を通じて、自社やインターネットでは収集できない情報が得られる点です。具体的には、競合の市場の動きや地域特有の文化、法制度の変更や時事トピックスなど、事業に関連する幅広い情報がパートナーとの対話で得られます。
こうしたパートナーの知見を活用することで、新たな一手を打つきっかけが生まれることもメリットだと感じています。
関連記事:SaaS企業が代理店販売を導入するメリットは?導入を検討する時の注意点も詳しく解説
パートナーセールス立ち上げの具体的な4ステップ
―パートナーセールスの立ち上げをゼロから進めていく中で、具体的にどのような準備や手順を踏まれたのか教えてください。
パートナーセールスの立ち上げは、以下の4つのステップで行いました。
- 実行準備
- 実行(パートナーにアプローチ)
- 振り返り・改善
- 目標値の設定
1.実行準備
最初のフェーズでは、パートナーセールスを実施するため、パートナーにアプローチする前の準備を行います。仮説を立てつつ、以下のような準備を行いました。
▼パートナーセールスの準備の一例 制度設計:パートナーとの契約内容やインセンティブの仕組みを検討 ターゲットパートナーの選定:自社サービスの特徴や強みと相性の良いパートナーを検討 提案資料の準備:パートナー企業に協業のメリットを伝えるための資料作成 など |
―準備段階で立てていた「仮説」について、具体的に教えていただけますか?
準備段階では、まずパートナーが活動する地域や顧客層の課題を想定し、パートナーの需要を喚起するための施策を考えましたね。
たとえば、2020年のコロナ禍では「オンラインウェビナー」が普及したため、導入事例を作成したり、オンラインセミナーを開催したりすることで関心を引き出せるのではないか、などと仮説を立ててパートナーへアプローチを検討していきました。
―具体的には、どのようにパートナーを選定したのでしょうか?
まずは、自社サービスの業務スコープと相性の良さそうなパートナーを選定し、アプローチしました。
たとえば弊社は、経理担当者の経験やスキルに依存しがちな入金消込業務において、請求金額と入金金額を照合し、適切な債権管理を実現するシステムを提供しています。こうした業務の前後には「売上を立てる」「請求書を発行する」「会計システムに記帳する」といった処理があります。そのため、請求書発行や売上計上といった業務を展開している企業や、会計システムの会社、コンサルティング会社は相性が良いと想定し、パートナー候補にピックアップしました。
ただし、仮説だけでは相性の良い会社を完全に見極めるのは難しい部分もあるので、初期段階では幅広くアプローチし絞り込んでいきました。
2.実行(パートナーにアプローチ)
2つ目のフェーズでは、準備で立てた仮説に基づいて、パートナー候補の企業にアプローチしていきます。この段階では、具体的に提案を進めていきます。
―パートナー候補の企業には、どのようにアプローチしていたのでしょうか?
この段階での提案では、パートナー候補の企業が展開しているサービスの特徴や強み、顧客についてヒアリングしました。
たとえば「弊社では、このようなパートナー企業と事業を進めており、こうしたお客様にご利用いただいています」といった形で、自社の実績や顧客の属性などから”パートナーの事業に近い内容”を共有し、相手の関心を引き出しながら会話を進めていきます。
会話する中で、互いのニーズが一致する部分を見つけ出したら、候補企業の既存サービスと自社の機能を組み合わせることで得られるメリットを提案しました。こうして両者の方向性が合えば、協業に向けた次のステップへと進んでいきます。
―提案時に工夫された点や、特別なノウハウがあれば教えてください。
よく聞かれる質問なのですが、正直のところ提案に際して、特別なテクニックやノウハウがあるかというと、そうでもないんです。もちろん、自社の優れたサービスや大手企業の顧客実績をアピールすることはありますが、それだけでは不十分です。
重要なのは、テクニックよりも、人間関係の構築やコミュニケーションの取り方です。たとえば、場合によっては両社の上層部同士を引き合わせることもあります。
技術的な要素だけではなく、相手企業の状況や関係性に応じて柔軟に対応し、信頼関係を丁寧に築いていくことが重要となります。
3.振り返り・改善
3つ目のフェーズでは、パートナー候補の企業へ提案した後の振り返りと改善です。このフェーズが一番重要です。
パートナーへの提案を通して、仮説とのズレや改善点などが見えてきます。そういった気づきをもとに再び検証や改善を積み重ね、パートナーとのWin-Winの関係を築きます。
―具体的に、どのように振り返りや改善をしていたのでしょうか?
たとえば、提案の仕方や伝え方の見直しですね。一方的な伝え方になっていないかを見直し、サービスの紹介資料を渡すだけでなく、パートナーがお客様と会話する際に話しやすい情報も伝える工夫をしました。また、お客様からの問い合わせ傾向を分析し、「どの規模の会社が、どのような課題を抱えているのか」といった情報を整理し、パートナーに共有することも大切です。
さらに、パートナーの顧客で弊社サービスを利用している事例を分析して伝えたり、金融機関とのシステム連携の情報などを共有したりして、パートナーの理解を深める工夫をしていました。
―チームでどのように成果を振り返り、改善していったのかをお聞かせください。
パートナーセールスのメンバー全員で活動内容を振り返り、課題や成果を共有しています。
それぞれのメンバーが連絡を取った企業とのやり取りや、得た気づきを全員で共有することでお互いに学び合い、次のアプローチや改善策に活かしています。
4.目標値の設定
目標値の設定、具体的にはKPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)を精緻化していく段階です。
―パートナーセールスにおける目標値の設定は、具体的にどのような設定や工夫をされたのでしょうか?
当初のパートナーセールスにおける目標値の設定では、パートナーの成果を合算した「グロスのKPI」を設定しました。
会社としてパートナー別の受注件数で正確にコミットするのは難しいため、「パートナー全体でどれだけの商談を生み出せるか」をKPIに設定したのです。また、活動量(例:勉強会の開催回数)や「パートナー契約の締結数」をサブKPIに設定しています。
ただし、年度によって会社の方針や外部環境も変わるため、状況に合わせてKPIも精緻化していくことが必要です。
また、目標設定においては件数だけを見るのではなく、商談数につながる活動や成果を見極める必要があります。たとえば、「勉強会を開催したから売上が立つはず」といった安易な仮説ではなく、Nextアクションをしていく中で、実際にどれだけの見込み客が生まれたのかをチェックします。
弊社の場合、提供しているサービスは毎月大量に売れるわけではありませんが、課題が明確な企業には確実に貢献できるという特徴があります。そのため、全体のKPIに加えて、パートナー別に「B社は30社、C社は20社の受注を目指しましょう」といったパートナー別の目標も立てていました。
―「パートナー全体の目標(KPI)」と「パートナー別の目標」をそれぞれ設定したのですね。ちなみに、現在はどのようなKPIを設定されていますか。
パートナーセールスの事業が5年目に入る現在、定期的に相談をいただけるパートナーが10社〜15社ほどになってきました。そのため、次の目標として「重点的なパートナー」と「深耕していきたいパートナー」に分け、それぞれの傾向や現況をもとにKPIを設定しています。具体的には、重点パートナーで全体の商談数の60%、他のパートナーで40%を創出するようにKPIを置いています。
以上の1から4のステップをくり返し、パートナーセールスをゼロから進めていきました。
パートナーセールスの導入が向いている企業とは?
―パートナーセールスの導入が向いている企業と、向いていない企業の特徴があれば教えてください。
パートナーセールスが向いている企業
パートナーセールスが向いているのは、自社サービスを提供し、営業やマーケティングのリソースを一定程度確保できている企業です。有形無形を問わず自社サービスを提供している会社は、基本的にパートナーセールスに適していると思います。
関連記事:SaaS企業に求められる営業戦略とは?戦略の立て方・ポイント・代理店活用法を含めて解説
パートナーセールスが向かない企業
一方で、パートナーセールスが向かない可能性があるのは、営業力が極端に弱い、または強すぎる企業です。
営業力が極端に弱い状態とは、たとえばIT業界において「開発部門が中心で、営業部門がほとんど存在しない」といった企業です。パートナーセールスには営業・マーケティングなど幅広い知識や視点が必要になるため、社内に営業人材がいなければ、効果的にパートナーを活用できない可能性が高いでしょう。
逆に、直販の営業力が強すぎる会社も、パートナーセールスに不向きになってしまう可能性があります。パートナーとの協力体制を築くには、パートナーの立場を尊重し、足並みをそろえて事業を進める姿勢が求められます。そのため、自社の営業力が強すぎると、協力体制がうまくいかないリスクも出てくるのではないでしょうか。プロダクトによると思いますが、いずにしても自社の直販部隊とコンセンサスを上手にとっていく必要があります。
パートナーセールス戦略を成功させる重要ポイント
―パートナーセールス戦略を成功させるための重要なポイントを教えてください。
パートナーセールスで特に重要なポイントは、以下の3つです。
- パートナーセールスで獲得したい顧客を明確化し、パートナーを検討する
- 短期的成果よりも、中長期的視点が重要
- パートナーとWin-Winの関係を築く
顧客を明確化し、パートナーを検討する
パートナーセールスを成功させるためには、まず「自社サービスをどのような顧客に使ってほしいか」の明確化が重要です。そのターゲット顧客を抱えていそうなパートナーを見極めて、適切なパートナーを選定する必要があるからです。
効果的にパートナーを検討するために、すでにパートナー制度が進んでいる企業と意見交換し、パートナーの選定方法やポイントを情報収集するのもよいでしょう。
短期的成果よりも、中長期的視点が重要
パートナーセールスは、クリエイティブな側面もあるため、短期で結果を求めるのではなく、中長期的な視点を持つことが欠かせません。たとえば、仮説を10個立てる場合は、そのうち「2〜3個が当たれば十分」といった心構えで進めるくらいがよいでしょう。
またパートナーとのコミュニケーションは、1回ですべてを理解することは難しいため、何度もアプローチして会話を重ね、信頼関係を築く必要があります。最低でも2~3年かけた取り組みが必要であり、会社としてリソース確保も重要です。
―パートナーセールスで起こりがちな失敗があれば、アドバイスをお願いします。
よくある失敗例として、たとえばパートナー候補に自社サービスの勉強会を実施し、メリットを説明しただけで「売ってもらえる」と考えてしまうことですね。しかし、勉強会の内容は忘れられがちで、継続的なアプローチを怠ると良い結果にはつながりません。
実際、弊社でもパートナーセールスを始めて5年弱になりますが、安定的に数字や目標が見通せるようになったのはここ1、2年のことです。やはり、長期的に取り組むことが重要だと感じています。
パートナーとWin-Winの関係を築く
パートナーセールスでは「お互いのメリット」を意識し、パートナーとWin-Winの関係を築くことが大切です。つい「売ってほしい」という姿勢に陥りがちですが、パートナーにとってのメリットや、自社ができる提案を考える必要があります。
理想的なのは、パートナーの営業担当者が顧客から課題を聞いた際「この件は〇〇さんに相談しよう」と真っ先に思い浮かべてもらえる関係性ですね。これは信頼関係構築の証と言えるでしょう。そのためには、レスポンスの速さや丁寧な対応など基本的な積み重ねが欠かせません。だからこそ、中長期的な目線が必要なのです。
また、その際は地域による特徴や心理的な距離感を考慮する必要がありますね。たとえば弊社では、遠方のパートナーに対しては、オンラインの対話だけでなく、現地訪問も実施しています。現場スタッフとのランチミーティングで課題をヒアリングするなど、地域に合わせた柔軟なコミュニケーションも重視しています。
こうした地域の特徴をふまえて、パートナーとの関係性を構築することで、信頼関係が深まり、新たな顧客層にリーチするチャンスも広がるでしょう。
パートナーの管理やコミュニケーションにおける工夫
―パートナーの数が増えてくると、対応や管理面が大変になると思うのですが、コミュニケーションにおいて、工夫している点があればぜひ教えてください。
弊社のパートナーチームは少数ですが、全国で160社以上(2024年末時点)のパートナーと連携しています。1ヶ月に1社ずつ直接会うのは難しいため、限られたリソースで関係を維持するための工夫を行っています
具体的には次の2点です。
- オンラインパートナー会の開催
- パートナーに合わせたトピックスの提供
パートナー会の開催
全国のパートナーに対して、定期的にオンラインで「パートナー会」を開催し、以下の内容を共有しています。
▼パートナー会で共有する内容の例 ・弊社の現状 ・新規顧客の問い合わせ内容と傾向 ・営業トークの具体的なヒント など |
製品機能の説明よりも、パートナーにとって役立つ実用的な情報やトピックスの共有が中心です。
さらにパートナー会を開催した後では、各パートナーと個別にミーティングの機会も設けています。パートナー会でお伝えする内容と、パートナーの現在地や意向などをヒアリングし、今後の企画や施策の検討につなげているのです。
こうしたパートナー会の開催で、物理的な距離に関係なく全国のパートナーに均一に情報を届けられます。すべてのパートナーに対応できるわけではありませんが、少人数で効率的に運営する方法としては最適だと思っています。
また「パートナーになりたい」という希望する企業にもパートナー会に参加してもらうことで、弊社と協業頂く価値を体感頂いたり、自然な形で連携を進められるメリットもありますね。
―パートナー間で成果の差なども出てくると思うのですが、どのように対応されているのでしょうか。
パートナーごとに異なる市場や背景を持っているため、パートナー間で成果に差が出ることは避けられません。
そうした変動への対策としては、コミュニケーションの中で来期の見通しをパートナーから共有してもらうことです。売上が伸びる見込みがある場合は積極的に支援しますし、厳しい場合は次の機会に備えて準備を進めます。また、ほかのパートナーにリソースを配分し、関係構築を進めて全体の成果を向上させるよう努めています。
受注予算やインセンティブについては、社内外の管理工数を考慮し、パートナーごとに大きな優劣を付けない方針を採用していますね。パートナー自身の営業評価に基づいて手数料率を設定し、公平かつ柔軟に対応しています。
パートナーに合わせたトピックの提供
パートナーとのコミュニケーションでは、言葉の使い方にも注意を払っています。
たとえば、同じ内容を指していても「会計システム」と表現する人もいれば「ERP」と呼ぶ人もいます。パートナーの事業や地域は多様なため、対話では相手が理解しやすい言葉を選び、必要に応じて専門用語をわかりやすく説明することを心がけているのです。
また、先ほどお伝えした地域の特徴も考慮して、地元に密着した話題や事例を取り入れることで親近感を持ってもらう工夫もしていますね。
―そういった地道な積み重ねで信頼関係を築き、パートナー企業を増やしてこられたのですね。日々の積み重ねや努力が不可欠だということがよくわかりました。
その通りです。パートナーセールスは本当に泥臭い仕事だと思います。
現在の状態はまだ完成形ではありませんが、地道に積み重ねていくしかないですからね。一つひとつの小さな努力が、長期的には大きな成果につながるのだと思います。また、パートナーと良好な関係を築くうえでは、継続的にアプローチしていく姿勢も忘れたくないですね。
パートナーセールスは、お互いの利益を生み出す「仲間探し」
―最後に、鴨下さんからパートナーセールスの立ち上げを検討している方にメッセージをお願いします。
パートナーセールスは、お互いの利益を生み出すための「仲間探し」だと考えています。事業を推進していく上で欠かせないアプローチの1つだと思いますので、検討してみていただきたいと思います。
また、弊社とお付き合いいただける機会があれば、ぜひお声がけいただけるとうれしいです。
本記事のまとめ
- パートナーセールスとは、パートナー企業を通じて自社製品・サービスを提供し、売上拡大を目指す営業手法
- パートナーセールスのメリットは、販路拡大と新たな知見の獲得
- 立ち上げは「実行準備」「実行(パートナーにアプローチ)」「振り返り・改善」「目標値の設定」の4ステップ
- 自社サービスを持ち、営業やマーケティングのリソースがある企業は、パートナーセールスに適している
- パートナーセールスを成功させる重要なポイントは「顧客ターゲットの明確化」と「中長期的な視点」
- パートナーとのコミュニケーションでは、パートナー会の定期開催や地域に合わせた言葉選びなどの工夫が効果的
(取材・編集 / 上野さおり)
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