インサイドセールスを活用した営業を推進する中で、商談化率の平均はどれくらいなのか、商談化率の低下についてお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インサイドセールスの活用を含む、システム開発企業・SaaSビジネス専門のコンサルティングを手掛けるTimeSkip社が、商談化率の目安や改善のための対策について解説します。
この記事は次のような方におすすめです。
- 自社のインサイドセールスの商談化率が平均と比べてどうなのか、知りたい
- インサイドセールスの商談化率を上げる方法が知りたい
では、解説していきます。
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目次
インサイドセールスの種類・活用ポイント
ここでは、インサイドセールスの種類や、その活用ポイントについて解説します。
インサイドセールスの種類
インサイドセールスには次の2種類があります。
- アウトバウンド型インサイドセールス(BDR)
- インバウンド型インサイドセールス(SDR)
アウトバウンド型インサイドセールスはBDR(Business Development Representative)と呼ばれ、攻めのインサイドセールスを実践したい場合に採用します。
この施策は、自社の戦略方針に基づくターゲットのみを対象とするため、戦略的に新規開拓が実行できるメリットがあります。
「既に狙うべきターゲット像が明確になっている」、「積極的に新規顧客開拓で事業拡大を実行したい」場合に有効です。
具体的には次のようなアプローチで、見込み客を獲得していきます。
【プロセス】
- 自社の企業戦略に基づき、アプローチしたいターゲットリストを作成する
- 作成したリストを元に、電話やメールなどでコンタクトを取る
一方、インバウンド型インサイドセールスはSDR(Sales Development Representative)と呼ばれます。アウトバウンド型インサイドセールスとは反対に、相手からの反応を待つ手法です。
具体的には、次の媒体から自社にアプローチしてきた企業に対し、返信する形でコンタクトを取ります。
【媒体種類】
- 自社ホームページ
- ホワイトペーパー
- SNS(Facebook/Youtube/Instagram/Twitterなど)
- セミナー/ウェビナー
- 有料メディア など
この手法の特徴として、アプローチ先を自社では選べないため、自社の戦略方針に合わない業種や、企業規模が異なる顧客ばかりを獲得してしまう可能性があります。
社内リソース不足や顧客からのアプローチを多く獲得できている場合、こちらの手法を選ぶケースが多いです。
インサイドセールスの活用ポイント
通常、SaaSビジネスなどの営業プロセスは、次の5つにわかれます。
【営業プロセス】
リード獲得→リード育成→商談化→契約(受注)→カスタマーサクセス
この営業プロセスを、先ほどの2つのセールス手法に当てはめると、それぞれ次のプロセスを担うことが期待されます。
セールス手法 | 対象プロセス |
---|---|
アウトバウンド型インサイドセールス(BDR) | リード獲得~リード育成 |
インバウンド型インサイドセールス(SDR) | 主にリード育成 |
特に、インバウンド型インサイドセールス(SDR)は、普段からユーザーに自社サービスの情報を提供したり、顧客に合わせた丁寧な提案をすることで需要を喚起し、商談につなげる役割が期待されています。
例えば、自社で無料トライアルがあるサービスを持っている場合、トライアル期間終了間際にユーザーにコンタクトを取り、本契約への商談につなげるといった役割です。
また、サービス自体の利用頻度が少ないユーザーに対しては、自社のサービスを有効活用してもらうためにベストプラクティスなどを共有し、サービスへの理解を促していきます。
インサイドセールスの商談化率とは?
次にインサイドセールスの商談化率について解説します。
商談化率とは有効リードのうち商談に繋がった割合
現状、商談化率の定義は複数存在し、企業によって様々です。一般的に商談化率とは、「有効リードのうち、商談に繋がった割合」と定義することが多いです。
これを計算式で表すと、次のようになります。
【計算式】
商談化率(%)= 商談化数(件)÷ 有効リード数(件)
例えば、4月の有効リード数が300件、そのうち商談まで繋がった件数を9件とします。
この場合、4月の商談化率は次の通りとなります。
商談化率 3% = 9件(商談化件数) ÷ 300件(4月の有効リード件数)
商談化率と案件化率の違い
商談化率の定義や計算方法は理解できたものの、「自社では現状商談化率と案件化率が明確にわかれていない」というケースもあると聞きます。
その場合、まずは社内で明確に定義を統一することが何よりも重要です。
用語の使い方として、一般的に「商談」と「案件」では、「案件」の方が受注確度が高い場合を指すことが多いです。
例えば、受注確度の度合いを高い順に「A~D」の4段階(Aが最も高い)とし、次のように定義することで、社内の営業組織間で定義の統一化が図れます。
受注確度はBANT情報(※)が、どれだけ条件を満たしているかで定義されることも多いです。
(※)予算(Budget)・決裁者(Authorizer)・ニーズ(Needs)・タイミング(Timing)
現状、社内で明確な定義がされていない場合は、それぞれの用語を明確に定義することから始めてみることをおすすめします。
ちなみに最近では、顧客目線で考えることが重要視され新BANTということで、以下のような定義をされている企業もいます。
(※) 背景(Background)・現状(As-is)・必要性(Needs)・理想(To-be)
インサイドセールスの商談化率の平均は?
商談化率の定義や計算の仕方はわかったものの、インサイドセールスの商談化率平均がどれぐらいなのかは、気になるところだと思います。
それでは詳しく解説していきます。
有効リードからの商談化率の目安は約3.5%~数10%程度
取り扱うサービスや単価、業界、競合の多さにより異なりますが、商談化率の目安は約3.5%から20〜30%程度です。
商談化率に幅が見られる理由として、次の2点があります。
- 各インサイドセールスの手法(アウトバウンド型/インバウンド型)による違い
- リードを獲得した経路による違い
上記1.については、特にインバウンド型の方が自社に興味を持つ顧客にアプローチをするため、結果的に商談化率が高くなる傾向があります。
一方、上記2.では有料サイトにサービスを掲載する場合や、パートナーやユーザーからの紹介リードについては、商談化率や案件化率は商材理解や顧客との関係性が強いため高くなる傾向にあります。
ご参考までに、弊社(TimeSkip社)が過去にご支援した、ある業務系SaaSにおけるリード獲得経路別の実績を次にまとめました。
リード獲得経路 | 商談化率(%) |
---|---|
有料サイト掲載 | 10 |
パートナー/ユーザー紹介 | 92 |
他社主催イベントへの出展等 | 10 |
EXPO | 6 |
Web検索(広告/自然検索) | 16 |
商談化率を下げる2つの要因とは?
「従来から営業もしっかりと行動しているはずなのに、以前よりも商談化率が下がってきている」という悩みを抱えている企業が増えています。
なぜ商談化率が低いのか?その2つの要因について解説していきます。
確度が低いリードに対して営業リソースを割いている(リード管理が不十分)
低確度のリードに対し、社内の営業リソースでインサイドセールスを行っていることが、結果的に商談に繋がる確率を低くしている状況につながっていると考えられます。
要因を引き起こす事象として、次の2つが考えられます。
- インターネットの活用によるリードの獲得方法が多様化し、低確度リードの数が増加している
- 自社内でリードの獲得方法に対応した、適切なリード・確度管理が行えていない
インサイドセールスの活用ツール体系化と社内教育体制の未整備
2つめの要因としては、インサイドセールスのスキルアップにつながる、具体的な教育コンテンツが共有・メンバーに浸透していないことが考えられます。
よって、メンバーそれぞれで営業レベルにばらつきが発生しています。
商談化率を上げるための3つの対策
では、商談化率を上げるためにどのような施策を打てばよいのでしょうか?
その具体的な施策を3つ解説します。
営業プロセスの見直し・営業支援ツールの導入(SFAの導入など)
まず前提として、リードを育成・管理するための仕組みを作る必要があります。
例えば、SFAツールを導入することで、リードの行動や関心を可視化できます。
SFA(Sales Force Automation)は「営業支援システム」と呼ばれ、営業業務を可視化し・標準化するシステムです。
SFAツールには、次の重要な機能が3つあります。
機能 | 内容 |
---|---|
案件管理機能 | 提案や案件進捗、障害(停滞)の有無、受注見込みの管理分析を行う |
活動管理機能 | 次のデータを可視化し、営業活動の効率化や公正評価につなげる営業件数提案数成約率受注率 など |
顧客管理機能 | 顧客の個人情報を一元管理・共有し、多くの機会創出につなげる・既存顧客分析を行う |
営業活動の仕組み化、情報一元化や共有に特化しているため、営業活動の効率化につながります。
SFAやMA(マーケティングオートーメーション)を導入し、自社メディアやメルマガを通じた情報提供や、ウェビナー実施により購買意欲を高め、エンゲージメントの高い顧客、例えば「資料URLのクリック」や「サービスサイト閲覧」などをトリガーに架電することで、商談化率を高めることが可能です。
インサイドセールス用コンテンツ・プレイブックの作成
例えば、会社の全営業拠点のインサイドセールスが、共有利用できるツールを整備します。
具体的には次のような情報を整理していきます。
- コールスクリプト
- 訴求メッセージ
- リードとの会話で伝えるべきポイント
インサイドセールス一人一人の個性に依存するのではなく、インサイドセールス全員の営業品質を均一化することで、営業レベルのばらつきをなくすことが大切です。
インサイドセールスに対するトレーニングを実施
コンテンツ・プレイブックを作成するだけでは意味がありません。
そのプレイブックを有効活用し、ロールプレイングなどのトレーニングを実施していくことで、メンバー全員の高品質な営業レベルの均一化が実現できます。
商談化率の改善における注意点
最後に商談化率改善における注意点を解説します。
商談化率の向上のみを目的化しない
一番やってはいけないのは、「商談化率の向上、それ自体を目的にする」ことです。
特に、非現実的な商談化率を目標設定すると、営業メンバーはその数値目標達成のためだけに動くことになりかねません。
商談化に結びつけるために強引なアプローチを取り、クレームを受け、結果として自社イメージを傷つけてしまうことにもつながります。
必ず商談化率とあわせて、受注率を高めることが重要です。
SaaSの受注率の平均や改善方法についてはこちらの記事をご覧ください
SaaSビジネスの受注率の平均は?受注率低下の要因や改善策についても解説
まとめ
商談化率の改善は営業活動の効率化および売上最大化のために必須
いかがでしたでしょうか?
営業活動の効率化や売上最大化を実現するために、商談化率の改善が必須だということが、お分かりいただけたかと思います。
商談化率を目的化しないことや、社内の受注確度の管理体制をしっかり見直すことが肝心です。
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