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戦略

事業戦略の立案に使えるフレームワークの使い方【パワーポイントテンプレ付き】

著者名 TimeSkip

事業を成功に導くには、次のような点を考慮して戦略を立案する必要があります。

  • 自社の現状分析
  • 市場動向
  • 顧客ニーズの把握
  • 競合分析

そのためにはこれらを漏れなく整理できるフレームワークの活用が有効です。

この記事では、事業戦略の立案に役立つフレームワークの紹介と使い方を詳しく解説しています。記事内では、SaaS事業を事例としていますが、すべての事業において活用可能です。記事内にあるフレームワークのテンプレートはパワーポイントとしてダウンロードできるようになっています。ぜひご活用ください。(※個人情報は不要です)

事業戦略とは

戦略とは、現状と目標のギャップを埋め、目標を達成するための大まかな方針や計画のことです。事業戦略では、それらを事業単位で策定しています。

事業戦略は、経営戦略と混同されることがありますが、経営戦略は会社全体の戦略にあたり、事業戦略よりも上位の概念です。複数の事業を展開している場合は、事業ごとに戦略を策定する必要があります。行っている事業がひとつであれば、会社全体の経営戦略といえるでしょう。

また、戦略には機能戦略という概念もあります。機能戦略とは、マーケティングや営業、商品開発などの機能ごとに定める戦略です。事業戦略の目標達成に向けて現場レベルで使われます。

事業戦略では、その事業分野で競争優位に立つために次のような基本方針を策定します。

  • 事業目標
  • 顧客となるターゲット
  • 商品やサービスなど事業領域
  • 経営資源の分配方法と蓄積方法
  • 事業組織のマネジメント方法

事業戦略立案のポイント

事業戦略を考える上で基本となるポイントは次の3点です。

  • 市場の流れ、顧客のニーズや行動原理を捉えること
  • 競合と差別化を図り、競争優位に立つこと
  • これらを実現する経営資源を確保し、組織を構築すること

これら3つのポイントを基本的な方向性として、戦略を立てることが事業成功につながります。

事業戦略立案7つの手順

事業戦略立案は、基本的に次のような7つの手順で検討します。

事業戦略立案7つの手順検討事項
1.事業の目標・ビジョン事業の使命は何か事業の成功とはどのような状態か会社全体のビジョンと戦略のつながりはあるか
2.市場や顧客のニーズ市場や顧客にどのような悩みがあるか市場や顧客の悩みをどのように解決するか
3.競争優位性とコアの競争力自社の強みは何か顧客の課題解決方法は何か選ばれる理由はどこにあるか
4.競合と市場環境競争相手はどの企業か競合の強みは何か市場の状態はどうなっているか市場の規模はどれくらいかなぜ競うのが今なのか
5.ビジネスモデル誰にどのような商品やサービスを提供するかどの部分で収益をあげるかどのようなコスト構造なのかどの会社から仕入れるかどの会社とアライアンスを組むのか
6.経営資源現状の資金や経営資源はどれくらいか資金や経営資源をどう配分するか
7.未来想定戦略立案した事業すべてが5年後に何を成し遂げているか

これらをひとつずつ丁寧に検討していくことが強い事業をつくることにつながります。

事業戦略立案に役立つフレームワーク3選

前項で紹介した事業戦略立案7つの手順では、経営理念や全体ビジョンを策定した上で、2〜4へと検討に必要な現状分析を行います。現状分析には、フレームワークの活用が有効です。ここでは、汎用性の高いよく使われる以下のフレームワーク3つを紹介しましょう。

  • 3C分析 
  • STP分析 
  • 4P分析 

3C分析

3C分析を活用する場面市場や顧客のニーズの把握競争優位性やコアの競争力の発見競合や市場環境分析自社経営資源の把握

3C分析は、「Company(自社)」「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」の頭文字3つの略称となるフレームワークです。マーケティングの環境分析でよく使われています。

3C分析は、事業戦略においてもUSPの発見ができます。USPとは、「Unique Selling Proposition」(ユニークセリングポイント)の略称で、顧客のニーズを満たし、競合にない独自の市場で商品やサービスを提供できる価値のことです。

3C分析は、USPの発見にも役立ち、ビジネスモデル全体の検討や競争優位に立つための環境分析の基本となっています。

3C分析によりUSPを発見することで、市場における自社独自の商品やサービスの価値が明確になります。それにより商品開発やマーケティング、セールスなど、事業全体で一貫性を持って顧客へメッセージを届けることができ、顧客から選ばれやすくなります。

言葉にすると簡単に聞こえますが、USPは事業戦略の根幹であり、見つけるのは簡単ではありません。後述する手順を参考に何回も試行錯誤しましょう。

なお、既存市場がまだ出来上がっていなく、競合もいない段階であれば、顧客のニーズをより深堀できる「バリュープロポジションキャンバス」(後述)の活用をお勧めします。

3C分析の手順と注意点

3C分析は、手順に注意する必要があります。分析手順を間違うと顧客から必要とされていない商品やサービスを提供することになるからです。具体的には、次の手順で検討します。

  1. 市場・顧客分析
  2. 競合分析
  3. 自社分析

1.市場・顧客分析

市場・顧客分析では、次の2点を把握します。

  • 市場の成長率や、大きさ
  • 顧客が求める価値(ニーズ)

「マクロ分析」と「ミクロ分析」の2つの視点で分析を行いましょう。

マクロ分析

概念景気や消費の動向社会における好みの変化流行
これら社会的な外部要素を把握する手法のこと
手段PEST分析「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」
上記4つのの頭文字を取った略称のフレームワークPESTの視点に分けて考えることで漏れなく分析ができる各要素が与える影響から市場全体の流れや成長性を把握できる
留意点
分析の目的に合った要素を抽出する各要素が自社にとって脅威となるか、機会となるかを見極め、振り分ける

ミクロ分析

概念顧客の求める価値や業界動向を把握する
手段市場アンケートインタビュー行動観察データの分析
これらによって市場や顧客の望んでいる価値・ニーズにできる
留意点表層化しているニーズに対しては、すでに市場で対応しているサービスや商品が多いため、顧客自身が認識していない部分も含めたニーズの深堀が重要

2.競合分析

競合分析で理解すべきポイントは、次の2点です。

  • 競合として注視すべき企業はどこか
  • それぞれの競合が提供できる価値は何か

まず、自社の競合がどの企業なのかを決めます。競合の中には、「直接競合」と「間接競合」が存在します。

  • 直接競合:自社と同じ商品やサービスを扱う
  • 間接競合:自社の商品やサービスとは異なるものを扱う

間接競合は、自社の商品やサービスの対象となる顧客の悩みや求める価値を提供できる競合のことを指します。最近では「価値競合」とも呼ばれます。具体的には次の点を調査します。

  • どのような商品やサービスを提供しているか
  • 顧客にどのような価値を提供しているか
  • そのような価格設定になっているか
  • 商品やサービスの販売ルートはどうなっているか
  • 顧客にどのような訴求をしているか

競合の提供価値を把握するには、競合の公開している導入事例やWEB広告を調査することも有効です。

3.自社分析

自社分析では、市場・顧客の分析や競合分析をふまえてUSPを見つけ出します。USPは、顧客が求める価値であり、競合の提供できない自社だけが提供できる価値のことです。USPを見極めるには、次の3点を明確にします。

  • 自社が解決できる顧客の悩みとは何か
  • 顧客へどのような未来を提供できるか
  • 自社だけが持つ特徴は何か

これらを把握するには、後述する「VRIO分析」の活用が有効です。

3C分析の事例

それでは、3C分析によってUSPを活用した事例を紹介します。

ビデオ通信サービスのzoomの3C分析は次のようになります。

これらの分析により、zoomのUSPは次の3点であると言えます。

  • URLのみで使える圧倒的な使い始めのハードルの低さ
  • ビデオ通話に特化した使いやすいシンプルな機能
  • ブレイクアウトルーム設定等会議機能の充実

zoomは、これらのUSPによって競合との差別化を図り、コロナ禍でのオンライン需要の増加とともに市場シェアを急速に伸ばしました。

3C分析分析事項zoomの現状
市場・顧客分析市場の成長や大きさPEST分析(政治・経済・社会・テクノロジー)視点新型コロナウイルスのまん延海外渡航規制テレワーク増加IT技術の進歩労働生産性の向上
非接触、自宅でのコミュニケーション顔を見て話したい簡単に操作できる社外とのコミュニケーション
競合分析どのような商品やサービスを提供しているのか顧客にどのような価値を提供しているのかどのような価格設定かマーケティング等、訴求をどうやっているか例:Skypeの場合顔を見てコミュニケーションがとれる複数人でのビデオ通話ができる携帯や固定電話に電話ができる(有料)相手のステータスが分かる無料プランあり(会議は1日240分まで)無料通話時間とエリアで有料価格設定
自社分析自社が解決できる顧客の悩みとは顧客へどのような未来を提供できるか自社だけが持つ特徴は何か社外の人とも気軽にやり取りできる画像の品質、セキュリティ機能が高い背景設定で部屋を見せなくて良いシンプルな使い勝手オンライン会議に特化ブレイクアウトルーム、ホワイトボード、ウェビナー、レコーディング機能など

(参考)バリュープロポジションキャンバス

参考として、バリュープロポジションキャンバスについて解説します。バリュープロポジションとは、USPとほぼ同義で、顧客のニーズに対して自社だけが提供できる価値を意味します。

バリュープロポジションキャンバスは、3C分析よりも顧客ニーズをより深く思考するために項目が細分化されており、既存市場がなく、これから新市場を開拓するときに活用します。、①から⑧の順にフレームを埋めていくことで顧客の悩みを解消し、顧客が得たい未来を提供する商品やサービス開発の検討が可能です。

  1. 顧客セグメント
  2. 顧客が実現したいこと
  3. 顧客のメリット
  4. 顧客の悩み・障害
  5. 商品・サービス
  6. 顧客への利得を与えるもの
  7. 顧客の悩みや障害を取り除くもの
  8. 顧客へ提供できる価値

バリュープロポジションキャンバスでは、ターゲットとなる①を決めた後、②〜③までは顧客側の情報を記入します。⑤〜⑦でそれらの情報に対比させた自社が提供できる価値を明確化します。このようにして⑧の自社が顧客へ提供できる価値を導き出します。

(参考)VRIO分析

VRIO分析とは、経営資源の競争優位性分析を行うフレームワークです。「自社の強みがどれだけ市場で優位か」の分析に活用できます。

VRIOとはValue(経済価値)、Rareness(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の頭文字を取った略称です。フレームワークとして、組織が持つ内部資源の有効活用の可能性をチェックします。自社の強み、経営資源が次の4つに当てはまるかどうかを順に質問への回答をすることで判断できる分析方法です。

  • Value(経済価値):売上に貢献できるか、ビジネスチャンスを捉えられるか
  • Rarity(希少性):その経営資源を保有する企業が少数であるか
  • Imitability(模倣可能性):その経営資源を模倣することが困難かどうか
  • Organization(組織) :その経営資源を最大限活用するための組織であるか

自社の経営資源をこれらの問いに「YES」、「NO」で答えていき、経営資源の強さを評価します。VRIO分析は、会社の機能ごと(製品開発、マーケティング、セールス、カスタマサクセス等)に強みを書き出し、それらの経営資源をVRIO分析で評価するという使い方が可能です。

STP分析

STP分析を活用する場面・競争優位性の発見
・コア競争力の発見
・ビジネスモデルの検討

STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」を順番に分析するフレームワークです。

  1. セグメンテーション:市場を要素で分類、消費者をいくつかのセグメントに分類
  2. ターゲティング:その分析結果に基づき狙うべき消費者層を設定
  3. ポジショニング:市場における自社の立ち位置を決定

それにより、狙うべき顧客層が明確になり、効率的な経営資源の配分が可能となります。

STP分析の手順

STP分析は、上記S→T→Pの順番で進めます。進めるうちにSとTとPを行き来して検討し直す必要があるかもしれませんが、まずは手順通り始めてみましょう。

順番に解説します。

①セグメンテーション

最初に市場を分類します。以下の変数を軸にして市場や顧客を分類していきましょう。

BtoBの場合BtoCの場合
行動変数(ビヘイビア変数)商品・サービス利用の経験有無、利用頻度や回数商品・サービス購入に至るまでのプロセス別商品・サービス購入時のベネフィット購買頻度求めるベネフィット
人口動態変数(デモグラフィック変数)企業の人数、資本金、売上規模企業の担当者・購買者の年齢や役職、決済権の有無年齢、性別、職業、家族構成世帯年収、学歴
地理的変数(ジオグラフィック変数)企業の本拠地、店舗がある地域別地域、都市規模、人口密度
心理的変数(サイコグラフィック変数)商品・サービス購入時の購買動機顧客企業が抱えている悩み企業側の購買方針価値観、好みライフスタイル

②ターゲティング

分類した市場や顧客に対し、どのセグメントをターゲットにするかを検討します。ターゲットを絞る際は、市場の選定基準「6R」と呼ばれるフレームワークの活用が有効です。

市場規模(Realistic Scale)市場規模が適切かどうか?参入する市場が大きすぎると競合が多い可能性もある点に注意
成長性(Rate of Growth)市場の成長性はあるか?現在小さな市場でも将来的に見込めるならば、候補として検討は必須
競合状況(Rival)競合が多くないか?一般的に競合の少ない方が好ましいが差別化できる独自性が重要となる
優先順位(Rank)自社製品が顧客にとって優先順位の高いものか?顧客層の興味関心度が高いほど、市場においても注目を集めやすくなる
到達可能性(Reach)顧客へ的確にアプローチできるか?製品・サービスの提供が可能か同課だけではなく、宣伝が届くかどうかも判断材料となる
反応の測定可能性(Response)アプローチした効果を測定できるか?効果測定ができないと、成果を把握できないだけではなく、改善施策を実行できない

③ポジショニング

ポジショニングでは、市場における自社のポジションを明確にします。

ポジショニングマップは、ターゲット市場における自社の商品・サービスの立ち位置、すなわちポジショニングがどうなっているかを視覚化した図表のことです。ポジショニングマップを作ることで、差別化や優位性の確立が図りやすくなります。

ポジショニングマップの作り方

ポジショニングマップは、以下の手順で作成します。

  1. ポジショニングマップの軸(顧客のKBFの抽出)
  2. ターゲット顧客の重点評価KBFを抽出
  3. KBFを競合製品と比較
  4. ポジショニングマップの軸を選定(自社と競合をプロットする)

事例としてzoomを例に作成してみます。

1.ポジショニングマップの軸:顧客のKBFの抽出

最初に、製品に対する顧客の一般的なKBF(購買決定要因)を抽出します。KBF(Key Buying Factor)とは、顧客が購入製品を選ぶときの決め手となる要素です。既存顧客や見込み顧客に「選んだポイントは何ですか?」または「購入する際はどういったことを重視しますか?」などのアンケートやインタビューなどによりどのような点が商品やサービスを購入する上で決め手となっているのか(=KBF)を探ります。

事業開始直後やベンチャー企業におけるスタートアップ期では、KBFを明確にすることが急務となります。KBFがあやふやな状態でマーケティングを開始することは、資金の無駄遣いになるのでおすすめしません。

事例となるzoomの場合、まずはビデオ通信サービスにおけるKBFを検討します

2.ターゲット顧客の重点評価KBFを抽出

次にKBF(購買決定要因)のうち、自社のターゲットが特に重視する項目を抽出します。

3.KBFを競合製品と比較

それらのKBFごとに自社製品と競合製品の比較評価を行います。zoomでは次の5つが強みとして差別化が可能なKBFとなります。

  • 画像品質
  • データ容量の少なさ
  • オンライン会議特価の機能・ツール
  • 使いやすいUI
  • 導入しやすさ

4.ポジショニングマップの軸を選定し、自社と競合をプロットする

最後に、ポジショニングマップの軸となるKBFを選定します。KBFの基本的な選び方は次のとおりです。

  • ターゲット顧客が最も重視するもの(購買の決め手となるもの)
  • 競合他社よりも強みを活かせるもの

それらのKBFを縦軸と横軸にとり、自社と競合をマップ上に置いてみましょう。ここでのポイントは自社の位置ができるだけカドにくるようにすることです。このようにして他社と差別化できる自社のポジションを確認します。カドに来ない場合は競合の中に自社が埋もれてしまいますので他の軸をとり直しましょう。もしくは、カドにくるように自社の商品やサービスを変えることも方法のひとつです。この調整によって自社製品の特徴をより際立たせる強みを明確にし、競合との差別化ができます。

zoomの場合は次のようなポジショニングマップが考えられます。

このように、事業戦略策定では、競争優位性の確立やターゲットの選定(事業領域の設定)において、ポジショニングマップの活用ができます。

ポジショニングマップを作成する時の注意

ポジショニングマップの作成で注意すべき点は、次の3つです。

  • 顧客のKBFでないポジショニング軸を使わない
  • ターゲットにあわないポジショニング軸を使わない
  • 相関の高い軸をポジショニングマップの軸として選ばない

ポジショニングマップは、ターゲットとなる顧客のKBFをポジショニング軸に設定します。ポジショニング軸から外れている要素は、顧客に届かない施策となるので注意しましょう。

また、相関関係の強い要素も選ばないようにしましょう。例えば、「値段」と「品質」などは相関関係にあります。、品質が高ければ価格も高くなり、品質が低いと価格も安くなるという相関関係があるため、ポジショニングマップが1軸だけ右肩上がりになるでしょう。そのため、競合との比較ができないことからも、相関関係の強い軸を選ばないことが必要です。

4P分析

4P 分析を活用する場面ビジネスモデルの検討

4P分析は、マーケティング施策の検討で多く使われるフレームワークです。

これら4つのPは、商品開発や販路開拓など事業全体を考える上でも重要な視点になります。

4P分析の基本は、“誰に何をいくらでどのように売るのか?”という考え方で以下の点を検討します。

  • Product:どのような製品・サービスを提供するのか
  • Price:その製品・サービスをいくらで提供するのか、どのような決済方法か
  • Place(Channel):その製品・サービスをどのように提供するのか
  • Promotion:その製品・サービスでどのように販売促進をしていくのか

これまで3C分析、STP分析で自社の事業領域、ターゲット、USPなどを分析してきました。そのうえで、具体的な施策を検討する際に4Pの視点から戦略を立てます。

また、4Pは顧客視点の4Cに置き換えることが可能です。

  • Customer Value(顧客価値)
  • Customer Cost(顧客が負担するコスト)
  • Communication(顧客とのコミュニケーション)
  • Convenience(顧客の利便性)

このように顧客視点から検討することも重要です。

Product(製品)とCustomer Value(顧客価値)

自社が提供する製品やサービス(Product)は、顧客にとっての価値(Customer Value)になります。製品戦略は、プロダクト3層モデルと言われ、次の3つの観点で考えられます。

  • 製品の中核
  • 製品の実体
  • 製品の付随機能

3つの観点は次のようなものです。

中核(顧客のベネフィット)・その製品やサービスの中心となる価値
・顧客が手に入れたい未来や価値
実体(目に見える特徴や機能)・機能
・品質
・デザイン
・ブランドパッケージなど
付随機能(製品に付随するサービス)・アフターサービス
・保証

これらの観点で顧客にとって価値のある商品を検討をしていきます。

Price(価格)とCost(費用)

商品やサービスの価格(Price)は、顧客にとっての費用(Cost)にあたります。基本的には、顧客が納得できる価格を設定しなければなりません。価格設定については、3つの視点があります。

①顧客視点「Value-based方式」
・顧客が自社製品に感じている価値に基づいて価格を決める方法
・SaaSを中心に、サブスクリプション型のビジネスモデルとの親和性が高い
・近年注目されている方法
②自社視点「Cost-plus方式」
・原価などのコストに対して適切なマージンを乗せて販売するアプローチ
・従来の製品に対しての値付け
③競合視点「Competitor-based方式」
ベンチマークで比較する競合企業群の価格水準から適切な価格を検討する方法

SaaS事業の価格設定については、「Saasのプライシング(価格設定)戦略とは?料金体系や手順について詳しく解説」をご覧ください。

Place(流通・チャネル)とConvenience(利便性)

流通・チャネル(Place)は、商品・サービスをどこで売るのか、流通経路などを含む商品を売る手段を意味します。顧客視点では商品やサービスを手に入れる際の利便性(Convenience)です。

SaaS事業は、Web上でサービスを提供するため、導入時に「自社セールスが販売するのか」や「代理店を活用するのか」などを検討する必要があります。自社の商品やサービスの場合は、「どのような販売方法が良いのか」と整合性を考えて選択すべきです。

代理店の導入については、「SaaS企業が代理店販売を導入するメリットは?導入を検討する時の注意点も詳しく解説」をご覧ください。

Promotion(プロモーション)とCommunication(コミュニケーション)

プロモーション(Promotion)とは、消費者に対して自社や自社製品の認知を高めることです。プロモーションは、好意的な意識変化や実際の購買につなげることを目的にした一連の活動になります。
広告宣伝:TVや新聞、雑誌、インターネットを介して実行するプロモーション広報・PR:自社ビジネスの紹介を積極的に行うプロモーション人的販売:人的リソースによる営業活動で行う双方向型プロモーションセールス・プロモーション:直接的ではなくあらゆる顧客との接点に仕掛けるプロモーション
これら4つの取り組みで成り立っています。顧客にとってプロモーションは、コミュニケーション(Communication)になるでしょう。

4Pの事例

4Pと4Cの分析手順をzoomの事例に当てはめると次のようになります。

4P分析の注意点

4P分析を行う際は、いくつか注意すべき点があります。4P分析は、先に3C分析やSTP分析で環境分析を行っておけば整理しやすくなるでしょう。重要なことは、4Pが統合して考えられているかどうかです。

4つのPがそれぞれバラバラでは効果を発揮しません。製品・サービスはもちろんのこと、価格、提供方法、販促活動のすべてに影響します。そのため、十分整合性がとれているかを確認しましょう。

また、主観ではなくデータに基づいた客観的な分析を進めることが大切です。競合他社の製品の価格や、流通経路ごとにリーチできる顧客の数など、客観的なデータを確認しながら進めましょう。

まとめ

事業戦略の立案は、市場や顧客、競合、自社を知ることから始まります。

今回ご紹介したフレームワークの活用により、それらの分析を漏れなく効率よく進めることができます。このようにひとつずつステップを踏んで十分な分析を行うことで、自社の事業領域で競争優位に立てる戦略の立案が可能となります。

以下のリンクから、本記事でご紹介したフレームワークテンプレートをダウンロード(パワーポイント)できます。ぜひ自社の事業戦略立案にご活用ください。

事業戦略立案に使えるテンプレートのダウンロードはこちら(※個人情報は不要です)

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