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営業組織における属人化とは?属人化解消のメリットや、業務の標準化をした事例も紹介

著者名 TimeSkip

営業組織を統括される方でしたら、

「営業業績もそれほど悪くないのに業務を標準化する理由は何なのか」

「組織が属人化している状態だと、どんなリスクがあるのか」

「業務の属人化が問題なのは認識しているが、改善方法が分からない」

といった悩み・疑問をお持ちの方も多いかもしれません。

そこで今回は、属人化とはどういった原因により発生するのかを分析した上で、属人化を解消するメリット・方法について事例を交えながら解説します。

属人化してしまった営業組織における、課題解決のお手伝いができましたら幸いです。

SaaS・BtoB企業の営業組織改善を専門にコンサルティングをしている弊社、株式会社TimeSkipの知見に基づいて、本記事は作成されています。

さあ、営業活動の属人化を解消し、強い営業組織にするための方法を見ていきましょう。

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営業活動における業務の属人化とは?

属人化とは、営業活動が営業個人に依存している状態

営業活動が個人に依存している場合、営業活動が「属人化」していると言えます。

会社の大きな業績はトップセールスによってつくられている反面、休職や退職などの理由からトップセールスがいなくなれば業績が減少するのも事実。

高い業績が出るプロセスをわからないままだと、トップセールスの抜けた穴を、他の営業メンバーでカバーするのは難しいでしょう。

そのため営業組織または会社として、高い業績が出るプロセスを共有しておかなければ、再現性は低いままです。

営業活動の履歴やノウハウなどが個人に蓄積されており、会社としてトップセールスの高い業績を作りだすプロセスが共有できていないからです。

営業活動が属人化してしまうことは、会社の業績が大きく変動するリスクもあるといえます。

営業活動における業務の属人化が発生する原因

営業活動が属人化してしまうのには理由があります。

会社の仕組み・システムや営業個人の感情など、いくつか考えられますが、ここでは属人化が発生する大きな要因を3つ紹介します。

会社として活動履歴やノウハウを共有・管理できる仕組みがない

顧客とのコミュニケーション履歴やBANT情報などを、共有・管理できる仕組みがなければ営業個人で管理するしかありません。

BANT(バント)とはBudget・Authority・Needs・Timeframeの頭文字をとった略語です。

  • Budget 予算
  • Authority 決裁権
  • Needs 必要性
  • Timeframe 受注時期

この重要な情報は、営業担当と顧客の関係の深さによって、日々の営業活動で段階的に収集されていきます。

そのため情報を共有できる体制にしておかないと、担当者が不在の際には誰も引き継ぎができません。

よって情報を共有・管理できる仕組みがないことで、特定の担当営業しか顧客の重要な情報を持っておらず、業務の属人化が発生する原因となりうるのです。

新入社員に対するトレーニング・オンボーディング体制ができていない

オンボーディングとは新入社員が企業に入社した際に行う、企業の教育・育成プログラムのことです。

新しく入社した社員が早い段階で職場環境に馴染むことができ、持っている能力を発揮しやすくなります。

慣れない環境では不安や心配を抱きやすく、自分の力を最大限に発揮することが困難です。

オンボーディングを行うことで企業やチームに早期に打ち解け、新人社員でも戦力として働いてもらうことが期待できます。

しかし新入社員に対するトレーニング・オンボーディングの仕組みがない場合は、各社員が独自にスキル・ノウハウを経験によって身に着けるしかない状況が発生します。もちろん組織として一定レベルの知識・スキルを共有・担保することも難しいでしょう。

新入社員に対するトレーニング・オンボーディング体制ができていないことで、営業マンにより顧客に提供できる営業レベルのばらつきが大きくなり、業務の属人化が発生する原因になります。

自分の立場を守るために、営業マンがノウハウを共有しない

営業マンが自分の立場を守る(ジョブセキュリティを担保する)ために、自己のノウハウを他の営業マンに共有したがらない傾向もしばしば見受けられます。

また、会社としてもノウハウの共有を促す評価制度になっておらず(ノウハウ共有・トレーニングを実施した社員を評価するなど)、営業成績の数字のみで評価をしているとノウハウの共有がされにくいです。

その場合は他の営業にノウハウを共有することに対する、インセンティブやメリットを発生させる仕組みづくりが必要です。

営業が属人化すると、情報が閉鎖的になるため、営業活動の失敗例や成功例などの今後に活かせる情報も共有しにくくなります。

すると、個人として成長できないことはもちろん、組織全体としても成長できず、足踏み状態となるでしょう。

営業は業務を複数人で行わなくとも、個人で完結しやすい仕事のひとつです。

とくに個人の成果が重視されやすい組織であるほど、情報が共有されない傾向にあり属人化が進む原因になります。

属人化解消・業務の標準化のメリット

それでは、営業活動の属人化を解消して、特定の営業に依存しない営業組織をつくり業務を標準化することによって、どのようなメリットがあるのかを説明します。

営業マン全体の知識・スキルが向上することで、トップセールスの実績に左右されない強い組織になる

全ての営業マンが一定の知識・スキルレベルを持つことで、特定の営業マンに依存しない体制をつくることができます。

組織全体のメンバーが勝ちパターンを活用することにより、組織の営業力が向上します。

トップセールスが休暇を取ったり、退職しても、業務のフォローや引継ぎも可能になり、会社の業績も安定するのです。

また、顧客との初回接点から契約が成立するまでに、どういったプロセス(課程)を経て、成約に至ったのかについて、成果の上がる営業プロセスを段階ごとに可視化・整理することも重要です。

例えば、「訪問リスト抽出」→「アポイント」→「訪問」→「ヒアリング」→「提案」→「商談」→「クロージング」といった、営業活動における一連のプロセスを整理します。

このように整理されたものを「標準化」したプロセスと呼び、このプロセスと、各プロセスにおいて必要となる知識・スキルを共有しながら業務を進めることにより、トップセールスに集中していた業務負荷も低減でき、業務量を平準化することも可能になります。

組織の中には、このような標準化したプロセスで業務を進めておらず、勝ちパターンから外れているメンバーもいます。

勝ちパターンを知らないメンバーが、成果を上げているメンバーの行動をベースにした行動パターンに変えることで、営業組織自体の力を底上げできるメリットがあるのです。

営業活動の状況が見える化され、業績の向上に繋がる

各営業マンの手元で管理され、共有されていなかった顧客とのコミュニケーション履歴やBANT情報を組織で共有することも重要です。

確度管理やマーケティング~インサイドセールス~カスタマーサクセス組織などの、フィールドセールス以外の組織との情報連携がしやすくなります。

また営業プロセス上の問題点も発見・解決しやすいことから、業績の向上にも繋がるでしょう。

誰がどのフェーズでつまずいていて、どのように改善するべきなのかという判断が、数字やデータを基にした具体的な指標で分析することができるため、早い段階でリカバリーすることができるのです。

例えば以下のように営業プロセスの推移率を分析することで各営業組織のボトルネックを把握することができます。

カスタマーサクセスと営業の情報連携についての課題や、解決策は以下の記事をご参照してください。

「カスタマーサクセスで直面する課題と解決策は?LTVやヘルススコアの考え方も含めて解説」

新入社員のトレーニングの質が向上し、良い人材の採用にも繋がる

業務を標準化することで営業担当者ごとのノウハウやナレッジを見える化することができるため、経験豊富な営業担当者や成績のいい営業担当者が持っている営業スキルを組織全体で共有することができるようになります。

これにより、新入社員の教育や、成績の伸び悩んでいる営業担当者の育成にも時間を必要以上にかけることなく、組織全体の営業力を強化していくことができるようになるのです。

さらに営業組織が抱えるボトルネックの把握も容易になります。

ジョブ型雇用の動きが活発化しているほか、働き方改革による多様な働き方の促進もあり、人材の流動性は高まる一方です。

そうしたなか、業務が属人化していると人材の入れ替わりに対応するのは難しいと言えるでしょう。

一方、業務の標準化に取り組んでいれば、今後ますます活発化すると予想される人材の流動化にも対応することができるメリットもあります。

また、トレーニングの質の高さを対外的にアピールすることで、良い人材を採用することにも繋がるでしょう。

営業活動における属人化解消・業務の標準化の方法

このように、営業活動における属人化を解消し、業務を標準化することには大きなメリットがあります。

つぎに、どのようにすれば営業活動の属人化が解消できるのか、具体的な方法を説明します。

業務フロー・業務プロセスの作成・改善やプレイブックの活用

現場の営業社員やカスタマーサクセス担当にヒアリングし、営業プロセスをアクションレベルで可視化していきます。

その際、アクションの内容(誰がいつどこで何をしているのか)の整理だけではなく、アクションに伴いどのような情報が生まれて、どのシステム(もしくは紙や帳票)に何を入力しているのかという粒度までヒアリングすることが重要です。

そして、どの部分が属人化している業務なのかを見える化し、属人化を解消できるような標準化された「あるべき業務プロセス」を考え直す必要もあります。

セールスイネーブルメントツールなどを活用し、最新の営業コンテンツ(サービス資料・事例集・イベント情報・教育コンテンツ)を自然と利用できる仕組みにしておくこともチーム全体の底上げにつながります。

セールスイネーブルメントとは、組織全体の営業成果を改良するための取り組み全体を指す言葉です。

営業のパフォーマンスと育成施策がどう繋がっているかを可視化・分析し、社員育成のPDCAサイクルを回すことで、組織全体の営業力を底上げさせ、成果を出す手法になります。

営業向けトレーニングの実施

作成した業務フロー・プレイブックを活用し、ロールプレイングなどのトレーニングを新人営業や、経験の浅い営業に対して実施します。業務フローやプレイブックを単に読むだけでは、腹落ちして理解するのはなかなか難しいうえに、実際にロールプレイングとして体験することで得られる気付きも多いため、このようなトレーニングは有効です。

この際、新人営業だけにロールプレイングをやらせるのではなく、トップ営業や上司・役員レベルが実際にやって見せる(相互のノウハウ共有)ことが重要です。

ターゲットとなる顧客を想定した実践的な営業ロープレを行うのも効果的でしょう。

知識・スキルの共有を促す評価制度の整備

営業マンの知識・スキルを他の営業マンに共有することを促す評価制度や表彰制度を導入します。

営業成績だけで昇給やボーナスの査定を決定せず、組織の強化への貢献・教育・トレーニングの実施に対して評価する項目を評価制度に組み入れましょう。

知識・スキルの共有は、社内で属人化されている優れたスキルやノウハウを標準化し、広く組織に伝えて活用させることを目指すものです。

したがって、特定の部署や社員だけが取り組むのではなく、全社を挙げて実施しないと目指す効果は期待できません。

知識・スキルの共有を行い、効果を最大化するためには、トップをはじめとする経営陣が先頭に立って取り組む姿勢を示し、組織としての「本気度」を伝えることが大切です。

そのうえで知識・スキルを共有することで、このようなメリットがあるということを明確に語り、社員に知識・スキルを共有する目的を理解してもらうことも欠かせません。

知識・スキルの共有に限らず、新しい仕組みというものはとかく心理的な抵抗感を与えがちです。

導入の意図が分からなければ、日々の業務に忙しい社員たちが面倒に感じるのも無理はありません。

理解を得るためには、現場のニーズや課題を汲み取る姿勢を貫くと同時に扱いやすいシステムの構築を目指すなど、社員がナレッジ共有に積極的になれる環境を整備していくのが効果的です。

知識・スキル共有への理解を得るためには、知識・スキルが社内で広く活用されることで社内環境の改善や顧客満足度の向上にもつながるのだということを丁寧に説明していくことも必要になります。

また、知識・スキルの提供者への表彰や報奨金の授与、成果に偏った評価制度を見直すことで、知識・スキル共有に対する協力姿勢の引き出しが期待できるでしょう。

顧客情報やコミュニケーション履歴を共有するシステムの導入

マーケティング~営業~カスタマーサクセスまで複数の担当者間で共有できる、顧客別のコミュニケーション履歴や顧客担当者の連絡先などの情報を効率的に共有できる仕組み(SFAやCRMなど)を導入します。

SFAとは、英語で「Sales Force Automation」の略称です。

商談の進捗状況や履歴、顧客・案件の情報を一元管理し共有することができるツールです。

営業業務を効率化し、成約数や売上アップをサポートしてくれます。

CRMとは、英語で「Customer Relationship Management」の略称です。

顧客との良好な関係性を維持するためには、年齢や地域、性別、職業といった情報を管理するほか、コミュニケーションを管理するツールです。

これらのシステムを活用することで、情報を効率的に共有でき業務の標準化がさらに行いやすくなります。

営業活動における属人化を解消した事例

続いて、弊社TimeSkip社がこれまでに支援をさせていただき、営業活動における属人化を解消した代表的な事例を紹介します。

不動産会社(株式会社ウチダレック様)の賃貸管理SaaSにおける事例

まずは不動産会社の賃貸管理SaaSを運営するウチダレック様の事例です。ウチダレック様では、製品ニーズの高まりを受けユーザー数が増加する中(いわゆるPMFが達成された)、カスタマーサクセス部門において、専門性の高いオンボーディング業務を行う担当者への業務負荷の増大と属人化が問題になっていましたそこで、ハイタッチが必要なオンボーディング業務を対象に、弊社Timeskipのメソッドを用いながら業務の可視化・体系化を行いました。、

具体的には、SaaS事業の立ち上げから成長軌道に乗せた実績のある弊社コンサルタントが、クライアント企業のカスタマーサクセス担当者と一緒になって、ユーザーにとって最適なプロセスを検討しました。。

現状の導入支援の流れを詳細にヒアリングし、過去事例や商談なども含めて分析。受注~ユーザーオンボーディングを行うまで、どのようなステップでどう業務を進めていくのかといった標準化プロセスを、Timeskipのメソッドを用いながら3ヶ月程度で構築することができました。

オンボーディングプロセスを可視化・標準化することで、「この人じゃなきゃできない」という状況を脱し、

担当者への業務負荷を低減・属人化の解消と生産性の向上を実現した事例となります。

詳細は以下リンクをご確認ください。

「カスタマーサクセス組織を最速で体系化」

経理部門向けSaaS企業(株式会社アール・アンド・エー・シー様)における事例

次は経理部門向けSaaSを展開するアール・アンド・エー・シー様の事例です。アール・アンド・エー・シー様では、営業ファネル分析から商談化率にボトルネックがあることもわかっていました商談化を目標にするマインドで組織が動いていなかったため、「売れている営業なら当たり前」にできていることを言語化したり仕組み化する取り組みをしてこなかった状況でした

そこで、弊社コンサルタントが商談の同席、および案件のフィードバック会議を行うことでチーム全体の課題を把握し、ハイパフォーマーのベストプラクティスを抽出し、言語化・トレーニングを実行しました。

商談の同席から、良い営業担当は顧客の課題を深掘りするために、その背景まで捉える意識を持っていることがわかりました。

平均的な営業担当が「入金消込(月末に多く発生する経理業務)に困っている」という粗い顧客課題を認識しているところ、ハイパフォーマーは「貸し倒れの発覚が遅くなり社内で問題となった」というような背景情報を捉えていたのです。

そのため、提案に説得力が生まれ、結果に顕著な差が出ていました。これをTimeSkipが言語化しトレーニングに落とし込むことに成功できました。

結果として、5ヶ月間で商談化率が41%から58%まで向上。先輩社員が後輩社員にフィードバックを行う土壌も形成されるなど、属人化排除に貢献できました。

詳細は以下リンクをご確認ください。

商談化率120%、受注件数は2倍に向上

まとめ

属人化解消・業務の標準化は営業活動の成功・会社の業績向上のために不可欠

本記事では属人化の原因や属人化を解消するメリット・方法について事例を交えながら解説しました。

いかがでしたか。

営業プロセスにおける属人化解消の課題は、複雑な業務プロセス、システム・ツール、評価制度、教育体制、営業マンの個人的感情など、さまざまな要因が絡み合っていることも多く、簡単に解決できるものではありません。

本記事でご紹介した内容を参考にしていただき、営業組織の属人化解消を着実にすすめていきましょう。

SaaSの営業・カスタマーサクセスに関する各種コンサルティングのご相談はTimeSkip社へ

弊社TimeSkip社は、上記でご紹介した事例のように、各社が抱える課題をていねいに紐解き、属人化解消を実現したご支援実績が多くございます。ぜひ以下のコンサルティングサービス説明ページをご確認いただき、お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

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